Monthly_delivery _HUCOS vol.33 風が抜ける家 〜通風計画の考え方〜
窓を開けたとき、家の中を自然の風が心地よく通り抜ける。そんな快適な暮らしを実現するためには、窓の大きさだけでなく、配置や高さ、風の入口と出口のバランス、周囲の環境まで考えた「通風計画」が大切です。エアコンだけに頼りすぎず、季節の風や光を上手に取り込む、パッシブな家づくりの考え方をご紹介します。
Monthly_delivery _HUCOS vol.33 風が抜ける家 〜通風計画の考え方〜

住宅における通風とは?
年々暑さが厳しくなってきていて、今年もすでに30℃に迫るような日が多くなってきました。ここまで暑くなると、真夏の時期に「通風」だけで過ごせる地域は長野県内といえども限られ、エアコンやパネルヒーター等による冷房は欠かせないものとなっています。とはいえ、省エネという観点からもなるべく冷房に頼らず快適に過ごすために、今回は自然な心地よさをもたらす「通風」についての基本を学びます。
「通風」の一番の目的は、外部からの自然の風で涼を採り、室内のこもった熱を排出して室温を下げることです。例えば、日中に30℃以上まで暑くなった室内を、夕方以降気温が下がってきたタイミングで、適切な「通風」によって数分間自然換気をしただけで、部屋全体の気温は28℃程度まで低下させることができます。エアコンを2〜3分間運転してもここまで低下させることは難しいので、自然の風の力をうまく利用しましょう。
また、「通風」によって室内の換気も促されます。現在の住宅では、24時間機械換気システムが義務付けられていますが、窓を開けて「通風」することによって、より大量の空気の入れ替えを期待できます。
卓越風を知る
自然の風を活用する際にまずは知っておきたいのが「卓越風」です。卓越風とは、そのエリアで、ある特定の期間に吹く、最も頻度が高い風向の風のことで、風を取り込みたい5月から10月において、長野市では西南西、そして西からの風の頻度が一番高いというデータがあります。もちろん、いつも同じ方向から吹くということではありませんし、例えば住宅が密集している地域や、近くに河川や池などがある場合など、住宅個々で影響を受けることもありますが、基本的な自然の風の動きを知ることが大切です。

(一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターのウェブサイトより)
風の流れを作る
「通風」には、風の入口そして出口が必要です。1カ所だけ窓を開けても、部屋の中の空気の逃げ場がないので、風が吹いていても外の空気は部屋の中に入って来られません。そこでもう1カ所、できれば対面の窓を開けることによって、風が部屋を通るようになります。
また窓の開き方でも違いがあります。最も一般的な引違い窓の場合、正面からの風は取り込むことができますが、横からくる風は入りにくくなります。いっぽう、ウインドキャッチャー効果のある縦すべり出し窓や横すべり出し窓は、家の横を通り抜ける風を、開いた窓障子で取り込むことができ、効果的な「通風」を期待できます。

(YKK APのウェブサイトより)
重力換気(温度差換気)を利用する
外気温よりも室温の方が高い場合、室内の暖かい空気は浮力によって建物の上部から外へ出ようとします。一方、外の冷たい(重い)空気は建物の下部から室内に入ろうとします。窓の高低差があることで、この重力換気(温度差換気)による換気量は大きくなるので、地窓などの低い位置の窓と、高窓や天窓などの高い位置の窓の組み合わせがポイントです。この重力換気は無風状態でも風の流れを生み出すことができますが、風の入口・出口と重力換気の入口・出口が合っているとよりスムーズな換気ができます。

高い場所でも開け閉めができる高所用すべり出し窓
しっかりとした日射遮蔽が大切
「通風」のポイントを見てきましたが、自然の風で夏を快適に過ごすためには、しっかりと日射遮蔽を行うことが大切です。軒や庇がなく、日差しを遮ることができないと、夏の室内の気温上昇を招きます。また家の断熱性能が低いと夏は特に屋根面が暑くなり、同じく室内の気温が上昇します。断熱性能、そして気密性能の高さは、冬の寒さばかりでなく暑い夏にも大きな効果を発揮します。

快適な家には自然の力と技術の力の両方が必要
HUCOSでは、自然の力、すなわち風や太陽、そして技術の力、すなわち断熱や気密性能で、“熱と風をコントロールして快適に暮らす”ことを提案しています。
2026年の夏は、気象庁の暖候期予報や各気象会社の予測によると、全国的に平年より気温が高く、厳しい猛暑となる可能性が高い見込みとなっています。自然の力である「通風」の効果を上手に得ながら、もちろん適切に冷房を使って、今年の夏を少しでも快適にお過ごしください。

暑い・寒い、ジメジメしている・カラッとしているなどの感覚だけではなく、住宅の室内環境を測る手段として、家の中のよく見える場所への温湿度計の設置をおすすめします。数値で室温や湿度を把握することによって、冷房・暖房機器の運転の判断はもちろんのこと、室内環境の快適性に大きく影響する湿度調整の目安にもなります。温湿度計の機器によって、多少数値のバラつきもありますので、家の中に複数設置することをおすすめします。またWi-Fiと繋げて、外出先のスマホでもモニターできるような機種もありますので、離れて暮らす高齢の親御さんや、真夏や真冬に留守番をしているペットの体調管理にも役立ちます。