Monthly_delivery_HUCOS vol.28 薪を焚く暮らし

薪ストーブのある暮らしは、住まいにやさしい暖かさと特別な時間をもたらしてくれます。揺れる炎の心地よさはもちろん、薪の確保や煙突掃除など少し手間がかかる部分もありますが、そのプロセスも含めて楽しめるかどうか。これから家づくりを考える方にも、実際のユーザーにも、薪ストーブの魅力や注意点をわかりやすくお伝えします。


Monthly_delivery_HUCOS vol.28 薪を焚く暮らし


身体の芯まで届くやわらかな暖かさ


薪ストーブの大きな魅力は、なんと言っても「身体の芯まで温まる放射熱」です。ストーブ本体が蓄熱し、ゆっくりと熱を放つため、空気だけでなく壁や床、家具までが穏やかに暖まります。エアコンのような乾燥した風もなく、室内全体が心地よい温度に包まれるのが特徴です。スイッチ一つで電源がつく暖房機ではないので、もちろん手間のかかる部分はありますが、長野など寒冷地では、暖かさの“質”が大きな満足度につながっているのではないでしょうか。


炎のゆらぎがもたらす癒しと豊かな時間


薪ストーブの前には、自然と人が集まります。ゆらゆらと動く炎の光は眺めているだけで心を落ち着かせ、テレビやスマートフォンを消して過ごす贅沢な時間をつくってくれるでしょう。薪がはぜる音やほのかな木の香りも、暮らしに心地よい変化をもたらします。家族団らんの時間が増えたり、休日に炎を眺つつ読書を楽しむ習慣ができたりと、日常そのものに“豊かさ”を感じられるのも薪ストーブならではです。

暮らしを楽しませる「手間が生む満足感」


薪ストーブは、スイッチひとつで動く暖房器具ではありません。焚きつけを準備し、火を育て、状態を見ながら薪をくべるという工程が必要です。しかし、ユーザーの多くはこの工程を“手間”ではなく“楽しみ”として捉えています。火を扱うことで自然と向き合い、季節や天気、薪の状態を観察する時間が、暮らしに深い満足感をもたらします。「ストーブに火を入れると家の時間が切り替わる」という声も多く、冬の楽しみの中心になっていきます。薪の熾火で焼くピザや焼き芋なども楽しみです。


薪はどのくらい必要?


薪ストーブを使うためには、薪の確保が欠かせません。薪ストーブを検討されている方は、1シーズンでどのくらいの薪が必要なのかが一番気になるところではないでしょうか?ストーブの性能、家の大きさや断熱性、また薪の樹種によってもかわってきますが、おおよそ軽トラック5〜6台分(約2t)はが使用量の一つの目安となります。薪一束は8〜9本で、すぐ焚ける薪の状態で購入すると一束あたり600〜700円というところが多いようです。費用をざっと計算するとこのようになります。
(軽トラ一台分が約40束 × 5台分 × @600円/束=12万円)
地域の森林組合や薪販売店のほか、ストーブ購入店でも取り扱っていることが多いですが、4〜5ヶ月焚くとして、全てを購入するとなると高価に感じます。チェーンソーや斧、あるいは薪割り機が必要になってきますが、薪を原木購入し、自身で玉割り(薪の長さ40cm くらいに切り揃えること)、薪割りをすることによって購入のコストは下げることが可能です。
また、長野市周辺にはりんごをはじめ農家さんも多いので、無償で分けてもらえるというチャンスもあります。行政ではこんなマッチングサービスも行っていますので、チェックしてみてください。

「果樹剪定枝・薪ストーブ活用推進事業」について
長野市を中心に近隣9市町村(長野市、須坂市、千曲市、坂城町、小布施町、高山村、信濃町、小川村、飯綱町)では、薪ストーブの薪を自己調達したいユーザーと「不要な果樹剪定枝等を引き取ってほしい」という農家さんのマッチングを行っています。登録制(今年は11月7日にて締切済み)で、薪ストーブユーザーと農家さんが直接連絡を取り合い、果樹の剪定枝を無償で分けてもらうことができます。ただ燃やされてしまっていた不要な枝木を、薪として活用できる良い仕組みです。


新築時に計画することが大切


薪ストーブを導入するなら、新築時がやはりおすすめです。後付けでも可能ですが、煙突のルートや屋根の形状、耐熱壁の設計、ストーブ周りの土間スペースの計画など、建物との一体計画によって仕上がりや使い勝手が大きく向上します。また、吹き抜けや階段配置と組み合わせることで、熱のまわり方を計算しながら間取り計画が可能になります。また薪棚の配置や、ストーブまでの薪搬入の動線など、外構計画とも絡んできます。
いっぽう、薪ストーブを設置して、のちに使用しなくなってしまったということが一番もったいないですし、使用しない場合は、冬季は冷気の入り口にもなってしまいます。魅力いっぱいの薪ストーブですが、HUCOSでは薪ストーブライフを続けていけるかどうかをよ〜く検討いただいた上で導入していただいております。自然のエネルギーを生かし、ゆっくりと時間が流れる冬の暮らし。ぜひご検討ください。